アトピーが悪化する理由

 今日はアトピー性皮膚炎についてのお話です。
当院にも、アトピー性皮膚炎の方はいらっしゃいますが、病院に行って薬を塗っても、保湿を頑張っても、それでも悪化するという方が多いです。
今日は、アトピー性皮膚炎が悪化する理由について詳しく書いていこうと思います。

■アトピー性皮膚炎が起こる仕組み
アトピー性皮膚炎は主に免疫系の過剰な反応によって引き起こされます。
正常な免疫反応では、外部からの侵入者(病原体など)に対して適切に反応しますが、アトピー性皮膚炎患者では、免疫システムが過敏に反応し、特定のアレルゲン(ハウスダスト、花粉、食品など)や非アレルゲンに対して過剰に反応します。
この過敏反応は、特にTh2(ヘルパーT細胞2型)という免疫系の細胞が関与しており、これがIgE抗体の産生を促進します。
このIgE抗体が、肥満細胞(マスト細胞)と結合し、アレルゲンが侵入した際にヒスタミンなどの炎症性物質が放出され、かゆみや炎症が引き起こされます。
また、皮膚のバリア機能低下も関係します。皮膚のバリアは、角質層と呼ばれる皮膚の最外層が主に担っており、水分保持と外部刺激の防御の役割を果たしています。
しかし、アトピー性皮膚炎では、角質層の構造や脂質の組成が異常となり、水分保持力が低下します。これにより、皮膚が乾燥しやすく、刺激物やアレルゲンが容易に侵入して炎症を引き起こす原因となります。

■なぜ、免疫の異常が起こるのか?
上記のような免疫異常(特にここではアトピー性皮膚炎の悪化)が起こるのは、複数の要因が重なっている場合が多いです。
1.遺伝的要因
アトピー性皮膚炎は遺伝的要因もあり、親や兄弟にアレルギー性疾患(喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など)がある場合、発症・悪化のリスクが高まります。
特に、フィラグリン(filaggrin)という皮膚の保護に重要な役割を果たすタンパク質の遺伝子変異が、アトピー性皮膚炎の発症に関連していることが知られています。
フィラグリンは、皮膚の角質層の構造を保つために重要であり、その機能不全が皮膚バリアの弱化を引き起こし、外部からのアレルゲンや微生物の侵入を容易にします。
2.環境的要因
環境因子もアトピー性皮膚炎の発症や悪化に影響を与えます。例えば、都市化や衛生環境の変化、気候、ストレス、食品や化学物質への暴露などが挙げられます。
これらの環境因子が皮膚のバリアを損傷したり、免疫系を過剰に刺激したりすることで、アトピー性皮膚炎の症状が悪化することがあります。
3.皮膚のバリア機能と免疫機能との連携力低下
皮膚のバリア機能が低下すると、外部からのアレルゲンや刺激物が皮膚に直接侵入しやすくなります。
このため、免疫システムが外部の刺激に対して常に反応し続ける状態となり、体内では、コルチゾールが大量に分泌されます。
コルチゾールは、ステロイド薬にも含まれる、炎症を抑えるホルモンである一方、 過剰に分泌されると、肌にうるおいを与えるセラミドが分解されて、肌が乾燥しやすくなったり、 長期間コルチゾールが大量に分泌されることで、コルチゾールの受容器が機能不全となり炎症を抑えることができなくなります。
■まとめ
このように、アトピー性皮膚炎が悪化する理由はいくつかありますが、一時的なものではなく体質や生活習慣からくる理由が多いです。
そのため、病院での薬を使った治療は、一時的に症状を抑えるという意味では効果的ですし、アトピー性皮膚炎を発症してから日が浅い方にとっては、薬で症状を抑えている間に生活習慣などを整え、改善していくことができます。
しかし、半年以上アトピー性皮膚炎に苦しんでいる方は、薬だけでは悪化を防いだり、改善することは難しいのが正直なところです。
生活習慣を見直すのはもちろん、自律神経の調整によってホルモンバランスを整えたり、ホルモンを生成している副腎皮質(大きく内臓)の調整をしていくことで、体質を変えて改善していくしかありません。 時間もかかりますし、薬のように目に見えて症状がすぐに治まるわけではないので、かなりの忍耐力が必要ですが、それでも当院を信じて通っていただいた方は、皆さん改善しています。
もし、 ・長年アトピー性皮膚炎に苦しんでいる
・どうにか改善したいが、これ以上どうすればいいか分からない
・もう半分諦めている…
というなら、ぜひお力になれると思います。 まずは一度、ご相談ください。

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